なぜ和食器(九谷焼も含め)は5枚セットなのか?

なぜ和食器のセットは5枚とか5個のセットなのか?

本当に不思議に思っていました。
かれこれ20年近く前になりますが、この焼き物業界に入った時に初めて疑問に思ったことの一つにタイトル通り、なぜ食器は5個や5枚を基準にしたセット販売なのだろうということです。少なくとも20年近く前であれ既に核家族化や少子化は進んでおり、むしろ一つの家庭や一人暮らしの方にとって5枚という選択肢はありえないと思っていました。

もちろん雑貨店や100円ショップなどでは1枚や1個から販売している為、食器を購入するにあたり困ることはないのですが九谷焼を販売している私たちからするとお客様のニーズに応えていないことが心苦しかったのを今でも覚えています。

なぜ5枚・5個のセットなのか?

色々な云われがあるのですが代表的なものをいくつか挙げていきます。

一番有力な説は、お客様をお迎えする際にホスト側が2枚、ゲスト側に2枚、そして予備に1枚という最低限度のおもてなしに必要な枚数が5枚や5個という説があります。また付随して日本では割り切れる数字の偶数よりも奇数を良しとする文化があるため5という数字になったとも云われます。

また陰陽五行説といわれている場合もあります。
陰陽五行説とは陰陽説と五行説が組み合わされた中国思想のことですが特に五行説を起源としていると云われています、五行説とは世の中のすべてのものは木、火、土、金、水という5つの要素で出来上がっており、その循環によりあらゆる現象が起こるという考え方で5要素には色が当てられており、青、赤、黄、白、黒となります。

欧米の洋食器では6ピースを基本に構成しているため和食器のセット枚数は日本の文化によって決められた規定枚数だと言えます。

ここ最近思う5枚の意味

色々な云われがあるこの5にまつわるセット枚数ですが最近になって自分なりの解釈で考えられるようになりました。それは5枚を必要とする食卓を囲むことがとても幸せな食卓であること、またそんな幸せな食卓を願い食器を揃えるという楽しみが5という数字には込めれているように思えます。

さすがに一人暮らしでは多い枚数かもしれませんが家族や友人とシェアするという意味では、そこに人と人とのコミュニケーションをもたらすのも魅力の一つかもしれません。食卓というのはやはり多人数で囲むことが幸せであって、人を招くこと家族が集まることの中心にあるのが食器というアイテムだと思います。

あくまでも食器屋の都合の良い考えとも思えますが、知らない間に私自身も器を買う時に単品であれ5個づつ買っているのはDNAに刷り込まれている器の心なのかもしれませんね。

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